2009年11月 黒部 下の廊下

 
■日付 11月4日(水) 〜6日(金)
■歩いた道 日電歩道、水平歩道
■天候 晴れ時々曇り〜快晴
■参加人数 1人
■ルート 1日目 大阪8:10'⇒信濃大町14:03'⇒扇沢黒四ダム15:16'⇒ロッジくろよんキャンプサイド15:40'(泊)
          2日目 黒四ダム5:30'⇒白竜峡11:10'⇒十字峡12:20'⇒仙人ダム14:30'⇒阿曽原キャンプサイド15:30'(泊)
3日目 阿曽原6:10'⇒折尾谷8:00'⇒大太鼓展望台10:00'⇒欅平12:50%⇒宇奈月14:15'⇒富山16:15'⇒大阪20:10' 

有志山行を11月1日〜3日に企画していたのだが、気象庁の予報で2日には大陸からの寒気団が日本列島を覆うとの事。多分黒部方面は荒れ模様になると判断し有志山行は中止。しかしその後の気象協会の山の天気予報では、3日午後から気温も平年並みに戻り天候も回復するとの事だったので有志山行に参加予定だった皆さんには申し訳ないが、4日から単独で下見がてら出掛ける事にした。
JR中央線奈良井付近の線路脇にはこの寒波で降った雪が所々未だ残って居り、内心出かけて来た事を後悔もしたが、まあ黒四ダム迄行って状況判断をと。しかし信濃大町から扇沢へと海抜が上がるにつけ北斜面の残雪が増え、気温も午後のせいでもあるがぐんぐん下がり黒四ダムに着いた時には5度位までになっていた。 トロリーバスを降りトンネル内の黒四駅から丁度ダムサイドへ出た時に、当初同行することになっていたS氏から電話を戴き、「ダム周辺の状況とアイゼンを敢えて持ってきていないので無理はしない。取り敢えず今日はキャンプサイドで泊まる。」と言って電話を切りキャンプサイドへと歩を進めた。観光客で踏み締められた雪は路面に凍り付き歩き難いので、踏まれていない雪面を選びながらキャンプサイドまで行き幕営。就寝は6時。11時半頃に一度目覚め、煌々と照る月を眺めながら温度計を見ると0.2度。この分だと午前3時頃には氷点下に下がるのでは。そうなると残雪も凍り付き危険が増すので明日は立山観光でもして帰ろうかと思いつつ再度シュラフに潜り込み就寝。
午前3時頃再度温度計を見ると気温は2.3度。5時頃には3.2度と気温は上昇。是なら注意して歩けば大丈夫と思い5時半キャンプサイドを出発した。黒四ダム下迄は観光客が雪を踏み締めて居たのでアイゼン無しの歩行は少々危険だったが時間を掛けて下り、転ぶ事無く下降、黒部下の廊下の核心部へと歩を進めた。 観光客の踏み跡はダム下迄で、その先には一人の女性らしき登山靴の踏み跡が行き返りで伸びて居たがそれも内蔵助谷出合いの手前迄で、その先はテンとオコジョの足跡だけだった。前日は残雪も未だ多かっただろうから内蔵助谷の先の切り通し仙道を見て多分引き返したのだろうか?それにしても僕の様な好き者が世間には結構居るのだなと思い笑いが込み上げて来た。 内蔵助谷出合付近で振り仰ぐと丸山東壁(黒部の巨人)がドッシリと鎮座して川床を見下ろしており、先の切り通し仙道の雪は消えて居たが北斜面のガレ場には未だ雪が残って赤い道標マークを覆い隠して居たので、動物的感覚と言うか経験を頼りにルートハンティング。対岸(右岸)の別山岩壁、左岸の大タテガビン南東壁(黒部の魔神)を仰ぎ見、新越沢に懸かる新越の滝が見え出した付近からは北面の仙道の雪も消え楽な歩行になった。 黒部の川床に陽が注し始めたのは9時40分頃。晩秋だったので黒部別山谷出合いの雪渓は消え、ルートは一旦川床まで降り、渡渉後は今年落ちたと思われるひと抱えもある落石を乗り越え、再度仙道へ登り返し対岸の崩落した傷跡を見たりしながら順調に、白竜峡、十字峡、半月峡、S字峡を通過し、約100m強の急坂を下り仙人ダムへ。 発電所内の蒸し暑い通路を通り抜け、先程降った程の急坂を喘ぎながら登り返し仙道へ。トンネルを抜け暫く歩くと右下に阿曽原温泉小屋の青い屋根が見え出しやれやれ。今日最後のキツイ坂道をくたびれた足取りで一歩一歩慎重に降りて日電歩道の歩行は終了。小屋仕舞い中の小屋で缶ビールを所望し乾いた咽喉を潤おし、夕食後はヘッドランプの灯で露天風呂へ。7時就寝。
3時40分起床。月明かりの中で北極星と北斗七星を眺めながらの朝食。6時10分阿曽原を出発。約130m程登り、振り返ると谷間の奥に雪を冠った頂が、多分五竜岳だと思うのだが。水平歩道は落ち葉が多くこの落ち葉が曲者。木の根や岩角を覆い隠して居るので躓かぬ様注意を払いながらの歩行。折尾谷の奥深く切れ込んだ仙道からは対岸の仙道を眺めながらの歩行。志合谷手前の鼻先からは奥鐘山西壁黒部の怪人(大太鼓)の先に欅平も望め、駅のアナウンスやトロッコ列車の汽笛等も聞こえて来た。 大太鼓は圧巻で、川床から一気に4 〜500mのゴツゴツしたオーバーハング気味の岩壁。水平歩道を歩く登山者はこの時期にはもう居なので、足がすくみそうな切り通し仙道上の大太鼓展望所で腰を降ろし暫し展望。汽笛は聞こえては来るものの幾重にも切れ込んだ山襞を縫って行く水平歩道は結構歩き応えが。新黒三発電所を下に見る辺りから対岸の谷間の奥に雪を冠った後ろ立山の山並みが見え隠れし疲れを癒してくれた。尾根上の送電線鉄塔から一気に100mそして続く250mのジグザグの急坂を降った所が欅平の駅だった。 時期が時期だけに黒部下の廊下の紅葉の盛りは終わっていたが、単独行を満喫出来たのが幸いだった。来秋は秋真っ盛りの時期に是非山仲間ともう一度歩いてみたいものだ。

秋更けて 黒部の廊下 人気なし
木枯らしに 廊下の錦 はぎ取られ ヘツリ桟道 旅人一人
時過ぎて 黒部の廊下 冬支度 静けき仙道(みち)の 落ち葉ざわめく

立山を背後を仙道と黒部川 大タテガビン黒部の魔神と桟道 黒部別山谷出付近
十字峡 白竜峡付近の切り通し仙道 こんな氷柱が
   
黒部の怪人の向こうに鹿島槍が 大太鼓展望台鉄道の桟道
   
阿曽原温泉小屋と湯煙り 夕陽の染まる赤沢岳白馬三山と朝日岳、清水岳
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