2004年 5月 芦生(アシュウ)原生林を行く

■歩いた地域 芦生 
■地域     京都北部芦生
■日にち 5月3日〜4日
■天候     曇り 雨
■参加人数 6名
■ルート  JR森之宮〜(車)〜駐車場〜地蔵峠〜長治谷作業所(テント泊)

 芦生原生林は本当にすばらしい!半年ぶりに訪ねた芦生原生林の景観は、すっかり新緑に変わっていた。しかし、昨年の11月末にはじめて訪れた時の感動と同じだ。2時間ほど車をとばしただけで、大阪近郊では考えられないこんな美しい手付かずのままに残る自然の宝庫があることに驚く。京都の分水嶺由良川の源流両岸には、今なお鬱蒼とした森が奥深く広がっており、西日本最大の芦生原生林は、約400ヘクタールに杉、ブナ、コナラなど860種類の植物が生い茂っている。標高1000m以下でこれだけの広さの原生林が残るのは西日本ではここだけらしい。広大な林地には、樹齢何百年という原生林が密生し、動植物の生態研究のうえでも貴重な資源である。
 朝8時、JR森ノ宮駅に集合した一行は、T号で鯖街道を走る。生杉から原生林の入口までは、まるで日本昔話にでてきそうな懐かしいふるさと風景の中を快適にドライブし、駐車スペースに車を停めた。そこから各自リュックをさげてテント設営まで歩く。1日目はテントを張ってから明日の下見ということで付近を散策した。とはいってもロッキーのメンバーのこと、道に迷い、気がつくと2時間以上は歩いていた。夜の献立は、Sさんの用意してくれた「中華風コンビーフ御飯」と新妻Yちゃんお手製「ふかひれスープ」。料理はとてもおいしかったのだが、ビール2缶とTさん持参のウイスキーだけでは私的には少々物足りなかったかもね。
 私はどうやら「雨女」らしい。この前も雨の芦生だったが、このたびはそれにまさる雨、雨、雨!!文字通りの大雨となってしまった。それも強風の大荒れの天候だ。宴の後、雨風が強くなりはじめ小屋と木の間にテントを移動させて強風をしのぐことにした。日頃の疲れがでたのか、8時過ぎには全員就寝。外はますます大荒れで、テントがぱたぱたと音をたてゆれていて、危うくとんでしまうのではないかと心配するほどだったが、私はすっかり深い眠りについてよく寝てたみたい。
 少し明るくなり目をさますと、テントをたたく音は激しく外は大雨の様子。起床時間は予定の5時を大幅に過ぎ7時半ごろになったが、軽い朝食の後、予定コースを変更してロッキーの心意気どおり「雨にも負けず、風にも負けず」歩く事になった。いよいよ京都北山の最奥由良川の源流域湿原に足を踏み入れる。
 森を歩いていると本当に気持ちがいい。森は全てをつつみこむかのように雨音もたてず、静寂の空間に響いてくるのは葉ずれや鳥のさえずり、渓流のせせらぎだけ。浄化された空気に雨に洗われた木々の緑が目にやさしい。渓流には朽ちた木橋がいくつもかかっていて、滑るのではないかと恐る恐る渡ると、ようやくブナやトチの巨木の多い茂る樹林帯に出た。ところどころニリンソウやスミレなどがひっそりと咲いている。その可憐さに見とれていると、この大雨で這い出てきたイモリを踏みつけそうになる。ニホンイモリといってお腹がグロテスクに赤い。Yちゃんの悲鳴にびっくりして見ると、赤い下をチロチロさせている蛇がこちらをにらんでいた。ところどころに野生動物の足跡もあり、熊どころか何が出てきても不思議ではない雰囲気だ。
 沢筋には巨木が根を張り、大きく片側に傾いていたり、ねじれた幹、カズラのツルが巻きついて太古の森の様相を見せてくれる。巨大なカツラが台地にしっかり根をはり威風堂々と立っていた。不自然に曲がりくねった姿は、長い年月、激しい風雪に耐え、自然環境の変化を何度となく受け、その都度、自らを適応させ生き抜いてきたのだろう。そのたくましさに心がふるえた。そして、木々の色、匂い、音を全身に浴びて人間の五感を存分に満たされ、癒された。これこそ人間本来のあり方なのだろう。いっこうにやまない雨にうたれた身体を「くつき温泉・てんくう」で清め、帰路に着いた。
 芦生原生林は、湿地とはいえないほどかなり草地化が進んでいるらしいが、この美しい自然を守る事が私たちの大きな務めだと改めて思う。大雨と嵐のような強風が恨めしいが、夜中にテントが飛ばなかったことに感謝したい。しかし、雨にぬれた新緑のまぶしい森もまたいいもんだ。

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