天然オオクワ判別は可能か                   TOPページ

 <●天然オオクワガタとはなにか> 

 野外で採集されたオオクワガタが「その地域で代を累ねた天然オオクワガタ」なのかどうかの厳密=生物学的な判断は可能なのでしょうか?

 非常に残念ですが、私は不可能だと思います。オオクワガタ飼育熱が過熱し簡単に家庭で繁殖飼育ができる前ならば、採れた個体は天然オオクワガタだったと判断できました。しかし今は・・・本当のところはどうなのでしょう。

15年以上前の川西産WD68(「国内各地のオオクワガタ」)

 厳密な判断というのは「オオクワ飼育の楽しみ」でも触れました「生物学的レベル」での判断ですが、多分昆虫学者はそんな意味のない研究はしていないでしょうから絶対確かな判断なんて誰もできないと思います。放虫された個体が生殖して子孫を残すことはほぼ不可能(のんびり育ったブリード個体の生存は相当難しい)で影響はごく微量かもしれませんし、そうでないかもしれません。もし他の地域のブリード個体との混交が相当あるとするなら生物学的に言うと「どれをとっても天然オオクワガタかどうか疑わしい」ということになります。

 しかし生物学的レベルの判断など誰にもできないのです。「趣味レベル」で考えてみたらどうでしょうか。他の地域で採れたオオクワガタがブリードされ子孫が放虫されたとします。自然の厳しさから言って確率は低いですがその地で繁殖する個体がいたと想定しましょう。その地域の気候風土に適応を遂げ、その地の木の菌で育った訳ですからほぼその産地の虫だと判断できるのではないでしょうか。代を累ねれば間違いなくその産地の虫と考えたらいい今はそう考えています。「生物学的レベル」では疑おうと思えばいくらでも疑えますが、「趣味レベル」で考えてみると、その地で採集され天然と判断された個体は、ほぼ間違いなくその産地の虫と言っていいと思います。とりわけ材割りで採集された個体は確実性が高いということになります。

 ただ問題なのは、国産オオクワガタと生殖混交が可能な外国産オオクワガタの放虫、もっと問題なのが人工的に交雑し国産との交雑で代を累ねた個体の放虫です。外国産のクワガタが採集されたという報道がありますが、「オオクワ飼育の楽しみ」に触れましたように外国産クワガタの放虫は交雑第一代〜第二代の生殖羽化の壁から言って生態環境に大きな影響はないかもしれません。しかし研究対象にはならないから確かなことは言えないでしょう。国産との交雑で代を累ねた個体の放虫は非常に深刻です。どこまでそういう事態が進んでいるか誰も判りません。厳密なレベルで考えればいつの日か純粋な国産オオクワガタのDNAはなくなる可能性もあります。放虫とは思えない採集オオクワガタに交雑の血が入っていないとは限らない、「生物学レベル」ではそう言えるかもしれません。これも「趣味レベル」で捉え直してみましょう。万が一その個体に交雑の血が入っていたとしても、その地の気候風土に適応しその地の国産と交尾を累ねたなら、これも国産オオクワガタと考えてみてもいいのではないか、私はそう考えるのですがいかがでしょう。採集された個体をブリードしてみて羽化が困難だとか、かなりの確率で国産とは判断し難い姿形の個体が出てくると言うなら若累代の交雑である可能性を考えればいいのであって、経験者が見て国産の姿形であるなら国産だと考えればいいと私は思います。趣味なのだから個々人が信じたらそれでいいといった消極的な判断ではなく、誰一人学問的に精密な判断ができないなら幅を持たせた判断基準に妥当性があると考えるからです。とんでもないと言われる方もおられると思いますが、もう時代は考え方を変えなければやっていけない状況になっているかもしれません。

<●天然か放虫か>

 残った問題は採集した個体が、放虫か天然かの区別です。国産オオクワガタであってもさすがに放虫だと判る虫をその産地の個体だと言い張るのは抵抗があります。私たちの判断基準を書いてみます。次の画像は私たちが天然と判断した虫たちです。

 花子PA 阿古谷46

 (1)♂42、♀39 03年大平山系採集     (2)♂45 05年阿古谷採集

 鳴尾65 阿古谷60

  (3)♂65 03年川西畦野採集         (4)♂60 05年阿古谷採集

 次に放虫と判断した個体の画像を3葉出してみます。

 釜65 釜風呂60

  (1)♂65 04年太平山系採集         (2)♂60 03年大平山系採集

 芋生64 (3)♂64 04年大平山系採集

<●天然・放虫の判断基準はあるのか>                                                        採集される方は経験からそれぞれ基準を持っておられます。はっきり言ってその正確さは経験に比例します。もちろん北攝近辺での経験です。

[採集場所]                                                          これは経験が大きく物を言います。オオクワガタが入る木はほぼ決まっています。同じ木に複数の洞があれば、どの洞にはどの時期どの程度のサイズのオオクワが入るかまで経験があれば推定できます。過去に採れたことがないポイントから大きなサイズのオオクワが採れたら疑いが生じます。新ポイントなら周囲の状況、樹液や洞の状態、産卵木の推定と飛来コースなどからオオクワの行動を知っている採集者ならある程度の判断材料が揃うと思います。放虫と判断した(1)の採れた樹は過去に採集例はありますが洞かぶりが無くなった隠れる場所もない樹液近くに堂々と身をさらしていました。天然オオクワの慎重さではありません。同(3)の樹は過去に採れてますが、大きな洞に水が溜まり最近ではオオクワの入ってない場所にまるで誰かがつっこんだようにして居ました。天然判断の4頭はみな過去に採集例もあり、仕上がりも良好な状態(これも経験から判ります)の洞や樹皮メクレ内から採れています。

[サイズ]                                                          15年以上前、もっとオオクワガタが採集できた頃でも、70ミリ以上のサイズのオオクワガタが採れた場所は○△70の樹として伝説化するぐらいですし、大量に採った方でも70以上の個体の採集は記憶に鮮明だと思います。生息環境悪化の昨今、この近辺では30ミリ前半のオスはざらですし、年によっては大歯の個体(50ミリ後半から)が1頭も採れないことも多くなってきました。ブリードでは70は簡単に出ますが、60ミリ後半の個体でもそれだけで疑いの対象になり他の要素も加味して判断しなければなりません。放虫判断した(1)はこのポイントでの実績から考えると明らかにサイズが大き過ぎます。                         

[体躯、甲殻の仕上がり具合]                                             天然オオクワが1年1化でないことはご存知だと思います。長い時間をかけて成長成熟する個体と短期間に高栄養の餌を与えられて羽化する個体の差は甲殻の仕上がり具合に顕著に出ます。しっかりした、エッジの鋭い甲殻は天然オオクワガタの特徴です。天然と判断した4頭はみなしっかりした甲殻をしています。しかし材飼育されたブリード個体はそれに近いものが出ますので、そういう個体が放虫されれば判別できないと思います(業界に詳しい方は、材飼育の良質個体を天然採集個体と偽って販売する悪徳業者がいると言われますので要注意!)。顎先の鋭いものはブリード品という方もおられますが、脱出口の堅さにもよりますので必ずしも確証的とは言えません。  

[ディンプル]                                                       天然の個体が蛹室を作る時は、湿度、傾斜、脱出口、水はけなどを想定した非常にしっかりしたものを作ります。一方ブリード個体は、虫が選ぶことはできませんのであらゆるディンプルが出る危険に満ちたものです。放虫と判断した(2)(3)には天然にはほとんどないブリード特有の上翅ディンプル、こげつき、(2)には高温高湿での羽化によく出る頭部ディンプルがはっきり出ています。天然判断の個体はほとんど出ていません。これも絶対とは言えません。悪い環境で小さく羽化したディンプル個体を採ったことがありますので。 

[行動の特徴]                                                      ご存知の通りオオクワガタは非常に臆病というか慎重な虫で、洞から樹表に出ることが稀です。場所によりますが、この近辺で6月に採れる確率が高いのは6月半ばに新成虫が這い出して洞の争奪戦があり、侵入オオクワを撃退するために洞の入り口に出てきたり、あぶれ者が人の目につき易いからだという説もあります。樹表に這い出したオオクワが採集者の光に驚いた時の動きの俊敏さ、あわてふためきの様子は相当なものです。光を当ててものそのそしていたりジっと動かないなら放虫を疑えます。放虫判断(1)はジっとして動きませんでしたし、脚部がうまく動かない身体でしたからますます疑いを持ちました。そんなオオクワガタは自然界では天敵にすぐ淘汰されます。甲虫類の墓場(フクロウなどによる残骸)があることを採集している方ならご存知だと思います。また擬死行動を取ったり、手をかざすと触覚を俊敏に動かし素早く逃げようとする行動もブリード個体とは差があると考えます。採集後ゼリーを食べようとしない行動も長く樹液を摂っていた成虫に見られますが、蛹室から出た直後の新成虫では食いつきがいいという経験もしております。

[メスの判断は困難]                                                                採集されたメスが天然なのか放虫なのかを外見や行動から判断することは非常に困難だと思います。人の入らない奥地で採集されたものなら疑いはほぼありませんが、有名なポイントなら、今までの経験から推定する以外にありません。採れた実績、居た場所、サイズ、時期、ある程度の行動の特徴(擬死行動やゼリーの食餌のしかた)、産卵数(ブリード個体と比べて産卵数が多い傾向がある)などから総合して判断するということになります。たいてい交尾していますので産卵させて子どもたちの菌糸ビンへの慣れや出てきた成虫の姿形(これはある程度推定できるということでしかない)などから判断する方もおられます。菌糸ビン慣れは重要だと思います。まず天然からはそんなにサイズは出ません。最近の菌床技術から言えば70前後というところでしょうか(もっと高い菌床技術、例えば出た木のキノコを培養した菌床とかなら別)。サイズがかなり低いものが出たり、顎が細かったり、前胸と比べて頭幅もあまり出ない、つまりしょぼい個体なら天然と判断し易い。子供の歯形のばらつきも一つの判断基準かもしれません。天然判断(1)などは樹液の出る樹皮かぶりの奥から採れたペアーですが、かつては採集者も来た場所ですが採った頃はほとんど人が入らなくなったポイントですから放虫の疑いはありませんでした。ようするにメスについては疑えるものははずすという方法しかありません。  (追記)昔からたびたび経験しますが、天然のメスの産卵の特徴みたいなものがあります。8月遅く採れて山で多数産卵を終えたメスはともかく、天然メスは速攻で激しく産む個体が多いです。セットするとすぐに産卵に入り柔らかい材だとすぐにボロボロしてしまいます(天然は硬い材の方が良いという方もおられます)。1ヶ月以内に幼虫が取れることもあります。ブリード個体は産卵モードに入るのが遅い気がします。産卵数も半端ではありません。翌年も産むことがあります。追い掛けしても良く産みます。そういう個体を見ると厳しい野外で種の保存が強烈にインプットされた彼女たちに畏怖を感じてしまいます。しかしこれもそういうメスはすべて天然だと断定する根拠にはなりません。ブリードメスにもそういうメスはいますので。ただひとつの参考にはなるかもしれません。

                                                                                       

<●天然かどうかの判断は非常に難しい>                                   菌糸ビンという画期的な発明以降、天然かどうかの判断は困難になりました。完璧な判断など不可能と言っていいと思います。判断する採集者の経験とカンに頼る以外にない訳ですから、自分で採集し判断した虫以外は信用しないという考え方も成り立ちます。ショップで購入されるなら採集者が判っているよほど信用できる店でないとということになってきそうです。

<●その後の放虫事例> 

 2011年6月6日採集した瞬間に放虫だと判断された例がありましたので報告しておきます。

 

大阪府某地で採集されたオス69ミリと同じ洞にいメス38ミリです。場所は車が横付けできる林道沿いにある直径60センチほどの台場くぬぎです。高さ160cmほどの場所にある径25cm程度の洞です。洞内では上部に入ってるようです(メス画像の下がそれです)。私が照らした瞬間、洞内を上に登ろうとするオスの大きな腹部が見えたので手で押さえ、少し抵抗はしましたがそんなに力は無くはがれました。最初ヒラタかと思いましたが照らして観ると70ミリ越えるような大歯のオオクワで少し驚きましたが、同行していたクマさんは即座に「パッチですよ」。その直後にもう一度照らすと洞内を上に登っていこうとするメスの腹部が見えるのでピンセットで前方を押さえクマさんに抜いてもらいました。カギ棒で抜こうとするとコロンと洞の下部に落ちました。画像でも分かりますが下部が平らになっていて水で少し濡れています。樹液ではありません。

 なぜ即座にパッチ物だと判断したのか参考までに書いておきます。このポイントにはオオクワは生息していますが、70ミリ近い野外個体は稀ですし、いるとしてもこんな低い場所にはいません。個体は裏返してみると明らかに越冬個体でしたがほとんど汚れもなくきれいでした。傷もなく争った様子もありませんし顎先もすれてません。晩夏に羽化脱出して顎先がすれていないまま越冬する天然個体もありますが、いかにもブリード越冬個体のきれいな身体です。ブリード個体だと思えるのはそれだけではありません。腹部がボテっとしていて締まりがなく太めです。天然個体の精悍さが全くありません。それにもし天然なら洞内に上がっていこうとする力は並大抵でないはず、しかも70近い個体ならすごい抵抗があったはずなのに、簡単にはがれたことからも言えます。メスもそうです。オスがやられているのに同じ場所にまごまごしていて同じ場所で採られてしまう、しかも棒でいじられてほんの数秒でコロンと下に落ちる天然個体などいません。逃げ口を押さえてもさんざん抵抗し脚や首が取れてしまってもグイグイ逃げようとするのが天然オオクワガタです。天然個体にはディンプルが無いとは言えませんが、このメスの前胸背板はいかにもブリード個体に多いディンプルが見え、こちらもオス同様越冬の汚れもなく締まりの無い、精悍さのひとかけらも無い身体です。手に乗せてみると雌雄とも擬態(死んだみたいに脚を閉じて固まる)も一切ないですし、動きに敏捷さが無く、天然個体特有の触角の動き(上下左右素早く激しく回すように動かして自分の状況を知ろうとする)も全くありません。

 結論です。洞周辺に樹液でもあれば多少考えたかもしれませんが、ここは単に樹の叉に開いた穴に過ぎません。私たちがここに来る少し前に誰かが昨年ブリード羽化させていらなくなったペアをここにつっこんだに違いありません。

(その2)放虫が多い年です。6月22日上のポイントに近い今度は樹液が出ている被りで、ここでは天然も採れている木です。画像見てもらったらすぐわかります。

大きいのは70ミリ、照らすと被りの上の方からメスを引き連れてゆっくり被り下へ(つまりライトの方へ)移動しました。天然オオクワはライトから遠ざかります。動きはヒラタ的でしたが顎は丸かった。でかい虫やと思いましたが嫌な感じがしました。左の中歯はその時下の被りで樹液を舐め、入ろうとしては追い出されを繰り返します。ライトはあまり気にしない。30分ほどして帰るとまだ中歯が居て舐めています。なんと竹の先でポトリと下に落ちました。お笑いです。しばらくして脚立を持ってきて登るとでかいオオクワがまだ居ました。手で簡単に採れました。しかも顎左右違いの特異個体、ハイブリッドなんかによくある奴です。もう二度とここへは来たくない、つくづくそう思いました。

 

交雑についての楽天的見解 (オオクワ百花争鳴から移しました)

 

  「オオクワ飼育の楽しみ」や「天然オオクワ判定」の中で「放虫が怖いのは交雑個体なんだ、だから交雑の疑いのある個体は管理をきちんとしよう」というような文章を書きましたが、その後いろいろ調べたり考えてみて、もっと別の見解も成り立つんじゃないかと思うようになってきました。読者は、あくまで「一つの考え方」と思って読んでみて下さい。

 亜種との交配についてはレオポンなどでも言われますが、子供ハイブリッド個体(B1個体とします)は、メスは生殖能力がありますが、オスには無いと言われています。一般的にそうだとします。そうするとB個体オスメスは交尾し子孫を残すことは不可能です。つまりハイブリッドは繁殖できないことになります。ハイブリッドを一つの種としますと、この種は1代限りで消滅します。自然界でもコクワガタと小さなオオクワガタのメスなんかが交尾しオオコクワが生まれることが稀にあります。私も今回そういうオオクワガタメスを採集し腹持ちの子がオオコクワになりました。その後オオコクワが自然界に居続けるとするとB1オス個体はそれで終わりです。B1メス個体は出現率が低いという報告がありますが、多分B1メス個体そのものが劣弱性を持っているからでしょう。B1メス個体自体が劣弱性を持っていますから生殖できたとしてもB2個体はうまく羽化できない可能性があります。ある方が人工下でB2個体羽化に持ってゆくためには特別な飼育材が必要だと述べていたことを私も議論の柱にしました。自然界ではもっと厳しい条件下で羽化は困難を極め、羽化できたとしても弱かったり凶暴過ぎたりして適応は難しいと思われます。ごく少数であれ生き残ればB2以降は生殖は比較的容易になるとも言われています。問題はここからです。B1メス個体は何と交尾するのでしょうか。オオクワガタかコクワガタです。オオクワガタと交尾してB2までいければ、その子孫はそれ以降オオクワガタとの交尾が進み、行き着く先は限りなくオオクワガタに近づいてゆきます。同様にコクワガタと交尾した場合それはコクワガタに近づいてゆきます。結局先祖に帰っていくわけでそんなに大騒ぎすることはないのではないか、ということになります。

 よくマスメディアなどで、自然界で外国産ヒラタが採れた、大変だ、生態系が壊れるという論調を目にします。亜種同士のハイブリッドが自然界で増えて生態系が崩れるというのは、上の考え方からすると、可能性は大変低いのではないでしょうか。ただ大量に外国産が放たれてその種自体が日本の環境に非常に適していて在来種を駆逐するという危険性はありえるでしょうし、他の動物でも報告があることは知られています。ハブ退治で輸入されたマングースがアマミノクロウサギを追い詰めている話などがそれです。

 さて、だとするなら、「阿古谷」等と称されることが多い交雑オオクワガタは、B1個体メスからある種の技術で上手く子供を羽化させ、オオクワガタとの交配を繰り返して外国産の痕跡を消し、良い形になった段階で累代して血統を固定化したものということになります。これが野外に放虫されますと採集した我々はなんだこれということで苦りきるのですが、限りなくオオクワガタに近づいている元ハイブリッドという本質は変わりありません。自然界でうまく生き残って他のオオクワと交尾できたとしますと、子孫はまたオオクワに先祖帰りしていく道をたどって行くだけということになります。

 私は生物学者ではありませんので間違いを犯している可能性は大いにありますが、こういう考え方も成り立つかもしれません。いかがでしょうか。なお下画像は昨年採集したメス32からのオオコクワオス63ミリです。

説明: Nikkigazou1

 

 

極太再論

 

私の好みは好みとして、極太トレンドをもっと広いスパンを取り、おおげさに言えば文明論的に考えたらどうなるんだろうか、そんなことを書いてみたくなりました。犬のことを考えて下さい。ハスキーもいれば柴犬もいるラブラドールもいればブルドッグもいる。犬種は無数にあります。すべて交雑です。人類が長い年月をかけて色んな犬の形態や機能、性格を多様に発展させた結果です。犬の原種を守れなんて言う人はどこにもいません。原犬など見ようと思ってももう居ません。太古の昔、人に慣れたオオカミに近いものだったのかもしれません。オオクワガタもここまで人と関係が深くなるとこの犬の場合と似たことが起こってもおかしくありません。極太オオクワガタを先入見を取り払って眺めてみると、オオクワの持つ形態の特徴をより顕著にしたものと見ることができます。甲冑の様な頭部、厳しい顎の形、ひきしまった腹と上翅、それが強調された虫は私もかっこいいと思いますよ。外国産との交雑であれ何であれそうした形態に一種の美を見出しより特徴を際立たせようとする人間の文化的欲求の流れを止めることなど出来ないのではないでしょうか。趣味とは好悪の領域の問題であり善悪の問題ではありません。純粋な国産の形態が美しいと感じる感性と交雑オオクワを美しいと感じる感性は、人の文化的志向として私は等価であると思います。私のようなオオクワ飼育の楽しみ方が高級で、ブランド血統飼育の楽しみ方が下等だなどとはまったく思っていません。けっこう奥の深い面白さに満ちたものだと推察できます。ある雑誌が美形オオクワガタコンテストをしていますが、国産に疑問がある虫は審査対象にはしないそうです。まあ、それはそれとして、やがて超○△血統コンテストが出来てもおかしくないと思いますけどね。私は地元でオオクワガタが採れますし、好みとして時代の流れに逆行する「反動派」を選択したに過ぎません。

 

 

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