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蛇紋岩マジックの山 「天山」 |
「天山」に登ると、一面草原という不思議な光景が目に入ります。
なぜ 「天山」 は山頂が草原なんでしょうか?
子供の頃から何度も「天山」に登っていて、何も考えることなく”山頂”とはこんなものだと思っていました。しかし、典型的な”中高年”の登山者(笑)と
なって九州の山を登っている間に疑問が出てきました。
なぜ 「天山」 は山頂が草原なんでしょうか?
山頂尾根である「脊振」の縦走路や、有名な「霧立越」も、歩いてみるまでは草原の道だとばかり思っていました。TVで見るアルプスなどは草原や岩場
が多いですし、「九重」や「阿蘇」も草原の部分を紹介されることが多いからだろうと思います。しかし、「脊振縦走路」や「霧立越」を実際に歩いてみると、
草原の道とは大違いで「ブナ」などの大木がたくさんあります。今まで山頂に対して抱いていたイメージが根底から覆りました。
九州で有名な草原の山、「九重」や「阿蘇」は火山の有毒ガスや・野焼きなどによって草原になっているのです。
なぜ 「天山」 は山頂が草原なんでしょうか?
「天山」 は火山ではないし野焼きもしません。 なのに山頂は草原なのです。
私が最初に考えたのは、”天山の冬は北風が強く、雪も深いので”樹木が成長できないのではないかということでした。しかし、他の冬山に登ってみて
わかりましたが、どこの山も”冬は北風が強く、雪も深かった”です。それならどこの山も草原になっているはずです。
なぜ 「天山」 は山頂が草原なんでしょうか?
「天山」 よりも北風が強く、雪のたくさん積もる山は多いのに。
ひょっとしたきっかけで、佐賀県の地質のことが書いてある本を見ました(「ふるさと佐賀の自然」 佐賀県教育委員会編)。その本によると「天山」上
部は「蛇紋岩」でできているそうです。びっくりしましたね、それまではあまりにも「天山御影石」(墓石などに使われる上質の花崗岩の商品名)が有名だった
ので、当然「天山」は花崗岩でできている山だとばかり思っていました。その後確認したら、山頂に設置してある説明板にしっかりと書いてありました。何
度も来ているのに興味がなかったので見てないんですね〜(笑)
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説明板
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なぜ 「蛇紋岩の山」 だと山頂が草原になるんでしょうか?
花崗岩ではなく蛇紋岩質の山だとどう違うのでしょうか?
蛇紋岩とは何でしょうね……? 大きな課題ができました。
「蛇紋岩」?
さっそく勉強開始です。
ちょっぴり不安ですが頑張りましょう!
「蛇紋岩」とは、地球内部に存在する「マントル」の主成分「カンラン岩等の超塩其性岩」が、水を含ん
で変質した岩石。
へっ……! マントル? カンラン岩? 超塩其性岩? いきなりむずかしい(泣) でも、負けずに勉強、勉強!
マントル?
地球内部の地殻と核の間に存在し、地震を引き起こす原因となる。地球の体積の80%を占めている。何となく理解(笑)
カンラン岩?
マントル上部に存在し、SiO2(二酸化珪素)の少ない超塩其性岩。 ん?……SiO2(二酸化珪素)???
SiO2(二酸化珪素)?
珪素の酸化物?、電球の内側に塗ってあるあの白い粉?、インスタントラーメンの粉末スープや各種サプリメントには凝固しないように入れてある?、
石英?、シリカ?、ガラスの主成分で 純粋な二酸化珪素は水晶?、地殻内では酸素に次いで多い物質?! はーっ??? なんのことやら??? こ
んがらがってきました(泣)
……………………!。
わからないままですが、とにかく先に進みましょう。
超塩其性岩?
化学組成による火成岩の分類の仕方で、二酸化珪素含有量の多い順に、酸性・中性・塩其性岩に分けられ、含有量45%以下のものが「超塩其性岩」と呼ばれる。
まあ、ようするに地殻の下にあるマントル上部の「超塩其性岩であるカンラン岩」が、水を含んで変質したものが「蛇紋岩」なんですね。まったくの素人
だし、これくらいの理解で良いか(笑)
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岩石園の説明板
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岩石園の標本石 . |
蛇紋岩マジック
花の名峰、「谷川岳」・「アポイ岳」・「尾瀬至仏山」・「早池峰山」・「夕張岳」などが蛇紋岩系の山であり、西日本では広島の「猫山」・四国
の「赤石山」等が蛇紋岩系の山として有名。
これらの山のように、貴重な高山植物が咲いたり、周囲の山とは異質な景観の山になることを「蛇紋岩マジック」と言うそうです
私はこれまでの経験から、「花の名峰」は石灰岩地帯にある山だとばかり思っていました。
これら九州の「花の名峰」はすべて石灰岩の山でした。
九州には蛇紋岩でできた「花の名峰」がないので、これまでまったく知りませんでした。 全国的にはたくさんあったのですね、まったくの知識不足でした。
残念ながら下記の 「花の名峰」、すべて行ったことがないので美しい花や風景の写真は何もありません。
夕張岳
北海道、夕張山地南端に位置する標高1668mの山。ここだけで北海道に咲く高山植物のほとんどを見ることが
できるといわれるほどの「花の名峰」である。
固有種である「ユウバリコザクラ」、「ユウバリソウ」などの高山植物群落は「蛇紋岩帯メランジュ」??とともに山全体が国の天然記念物に指定されている。???
「蛇紋岩帯メランジュ」?? 蛇紋岩が地表に押し上げられる時に、ヒスイ輝石などを含んだ変成岩を取り込みながら上昇して出来上がった
岩石帯。ヒスイといえば新潟県姫川!ここもこの「蛇紋岩帯メランジュ」、取り込まれたヒスイが岩石ごと崩れ、流されていくうちに蛇紋岩部分がはがされて、
美しいヒスイだけが海岸に打ち上げられたりするんですね。いつか海岸でヒスイ探しをしてみたいですね。 どうでもいい話か(笑)
谷川岳
群馬県と新潟県の県境にある標高1977mの山で「日本百名山」に選ばれている。「ハクサンイチゲ」「ハクサンコザクラ」「ホソバヒナウスユキソウ」等の
高山植物が咲き、2000mに満たない山だが、険しい「蛇紋岩」の岩場がアルプスの景観を見せている。
アポイ岳
北海道日高山脈の南端にそびえる、標高811mの低山。「幌満橄欖岩」と呼ばれるカンラン岩でできた山。他の「超塩基性岩の山」と違い、マントルが
蛇紋岩に変化することなくそのまま地上に現れた世界的にも珍しい山。80種以上の高山植物が咲き、1952年に「アポイ岳高山植物群落」として国の特
別天然記念物に指定されている。
尾瀬至仏山
群馬県の尾瀬一帯を見下ろすことのできるという、すばらしい場所に恵まれた「日本百名山」。標高は2228mで、山体が「蛇紋岩」で成り立ち、独特の
高山植物が咲き乱れる。特に「オゼソウ」・「ホソバウスユキソウ」・「タカネバラ」などが有名である。
早池峰山
岩手県、標高1917mの全山が「蛇紋岩とカンラン岩」ででき、花や山容の美しさから「日本百名山」にも選ばれている。日本の「エーデルワイス」といわ
れている「ハヤチネウスユキソウ」はあまりにも有名で、他の高山植物とともに国の特別天然記念物に指定されている。
白馬岳
北アルプス北部に位置する標高2932mの「日本百名山」。高山植物が豊富で、固有種・貴重種が数多く自生し、1952年「白馬連山高山植物帯」とし
て特別天然記念物に指定されている。「蛇紋岩」は八方尾根から岩茸山にかけて広く分布し、この付近に高山植物が数多く分布しているが、それより上
では土壌が変わって樹林帯が現れる。そしてその上に森林限界を超えた高山植物が分布するという特異な地域となっている。
愛知県指定天然記念物「中宇利丸山の蛇紋岩植生」
愛知県新城市の中宇利比丘尼城跡(223m)や雨生山(313m)付近には「蛇紋岩」の露出が目立ち周りとは全く違った植生を見せている。特に草本類
は「天山」と共通するものが多く、固有種として「シマジタムラソウ」(東海地方)・「ミカワマツムシソウ」(東海地方)がある。
朝熊山
三重県の伊勢神宮東側に連なる、標高555mの低山。昔は伊勢音頭で、「お伊勢参らば朝熊かけよ 朝熊かけねば片詣り」と歌われたように、お伊勢
参りの後に寄られたので、内宮からの整備された道が残っている。固有種の「ジングウツツジ」と、固有種ではないが、最初に発見されたのがこの山だっ
たので名前をつけられた「アサマリンドウ」が有名。 「ジングウ」ですか!! さすがに伊勢ですね、名のつけ方が違います。
龍門山
和歌山県北部に位置する標高756mの山。固有種の「キイシモツケ」が有名だが、それ以上に有名なのが県の天然記念物に指定されている「磁石岩」
近づけると方位磁石がくるくると回転するといわれています。これも「蛇紋岩」の仕業なんですね。
猫山
広島県比婆郡に位置する標高1196mの「蛇紋岩」でできた山。この山の名前をとった「ネコヤマヒゴタイ」が有名で、そのほかに「ミシマサイコ」、「ヒロ
ハヘビノボラズ」、「イブキジャコウソウ」などが咲き、その他は「天山の花」と共通する花が非常に多い。ただこの比婆郡というのを聞くと私たちの年代は「ヒ
バゴン」をつい思い出してしまいます(笑)
赤石山
愛媛県に位置し、海岸線から近く、海から一気に登っている標高1707mの山。四国では珍しく高山植物が150種も咲き、特に「オトメシャジン」が有名。
岩石に含まれる鉄分が酸化して山肌が赤く見えるために、「赤石山」と名前がついたそうです。岩盤には、日本唯一のエクロジャイト(ザクロ石と輝石
を含み、和名を「榴輝石」という)が含まれている。そしてなにより驚いたのが、以前から「日本でダイヤモンドが出るとしたらこのあたりしかない。」といわれ
ていたところ、2007年秋に「日本産ダイヤモンド初の発見」という大ニュースがこの地域から全国に流れたことです(新聞の斜め読み程度しか知識がない
ので、詳しいことはわかりませんが)。
高知県白髪山
高知県北部に位置する標高1470mの自然林豊かな山。「結晶片岩」の中に「蛇紋岩」が入ってきた山で、天然ヒノキが巨木となり気持のよい森を作り
出している。また鉄分が多いせいか、磁石の狂う山としても有名。山名は、山頂付近の天然ヒノキなどが白骨林化しているところからきている。そういえば
「天山」も山頂尾根付近にヒノキが目立ちますね。ヒノキは「蛇紋岩」と相性がいいのかな。
天山
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天山
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天山
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上の写真は、もし「天山」の標高があと500m程高いか北の寒冷地にあれば、「高山植物」のお花畑になっていたのではないだろうかと、ひそかに私が考
えている場所です。かなり「蛇紋岩」の影響があるのか、この付近は笹もほとんど成長できていません。
残念ながら「天山」には天然記念物に指定されるような「高山植物」は群生していません。やはり、温暖な地の低山であるため、暑さに弱い「高山植物」
が残存できなかったのでしょう。「高山植物」に関しては「蛇紋岩マジック」が存分に発揮できなかったようです。しかし、西日本の蛇紋岩地帯(山とは限り
ません)によく見られるといわれている、
ウメバチソウ・オケラ・コウゾリナ・ヤマラッキョウ・マツムシソウ・サイヨウシャジン・リンドウ・モリアザミ・ムラサキセンブリ・シモツケ
タムラソウ・ワレモコウ・オミナエシ・サワオトギリ……
等のうち、かなりのものを「天山」で見ることができます。また、これらの花は「九重」や「阿蘇」などの草原でも見ることができ、「草原の花たち」という
ことができると思います。火山でも野焼きをする山でもない「天山」が草原の山として存在し、これらの花たちを咲かせて登山者を魅了してくれることは、間
違いなく「蛇紋岩マジック」と言っていいでしょう。 ……続く
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