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William Parker / Scrapbook

曲目 参加ミュージシャン
1. Scrapbook
2. Sunday Morning Church
3. Singing Spirits
4. Dust on a White Shirt
5. Urban
6. Holiday for Flowers
Billy Bang (vln)
William Parker (b)
Hamid Drake (ds)
録音年:2002  
 何故か横浜HMVに立ち寄るたび目に入り、長らく気になっていたものをやっと買ってきた(1年前の話ですが)。 なんでよりにもよって本作のイメージがそんなに強く残ったのか全く不明だが、 これが印象に残ったのは非常に幸せな偶然だった。 私の場合、こういう買い方って当たらない場合が多いけど、今回は大当たり。 リーダーのWilliam Parkerだって、サイドメンだって全然知らない人ばっかだけど、 Strata-East、India Navigation、Winter & Winterといった硬派レーベルの日本盤をリリースしている Bombaレコードから出ている日本盤なのだから、 このThirsty Earというレーベル(のBlue Series)も要注意と思っていたが、いやはや、本作はマジで凄い。 Parkerのベースの音色の堅さ・太さも凄いんだが、サイドメンのBilly Bang(バイオリン)が、またキョーレツ。 ベース・ドラム・バイオリンと、編成だけ聞くとこじんまりとしたジャズを思い浮かべそうだが、 たった3人、しかも一人はバイオリンなのに、こんなぶっとい音の塊が飛んでくるとはビックリ!

 およそジャズ・バイオリンといえばStephane GrappelliかJean-Luc Ponty(プログレ?)。 マハビシュヌ・オーケストラでJerry Goodman。日本人では金子飛鳥。あ、最近では寺井尚子もいたっけ。 と、私はごく普通のジャズファン並みにそれくらいしか知らなかったけど、 ジャズバイオリニストって、ネットで調べてみると他にもかなりたくさんいるみたい(まぁ、当たり前ですが・・・)。 それはさておき、本作のお陰で私が名前を覚えた6人目のジャズ・バイオリニストはBilly Bang。 (ちなみに7人目がMark Feldman。この人も衝撃的だった。) Jerry GoodmanやJean-Luc Pontyのジャズロック・プログレ感覚も衝撃度高かったけど、Billy Bangは相当イッてる。 一聴でぶっ飛びました。こ、これがバイオリンか?!と耳を疑うフリーキーなバイオリン。 サックスでグギョーーギュルギュルと吹きまくる人はたくさんいるが、 Billy Bangはバイオリンでそれをやっているようにさえ感じる音を奏でる。

 1曲目はアルバムタイトル曲、ぶっといベース音が印象的な気持ちのよいリズムにのって、 これまた気持ちよくBangのバイオリンがメロディーを歌う。 50秒くらいしたところで、フリーキーにバイオリンが突っ込んできて、いつしかテンポアップ、 再びテーマに戻る。カックイイ〜!!! ベースソロ、ドラムソロへとつなぐが、ドラムソロに突っかかるバイオリン、ベースがこれまたフリーキー。 2曲目、5拍子にしてはちょっと珍しいリズムパターン上に、さぁどんなメロディーが被さるのかと聴いていると、 あっけにとられるような調子はずれの音から始まるメロディーが絡みついてきて思わず笑ってしまう。凄いセンスのメロディー。 その後はバイオリンが徐々にキレていく。4分過ぎから拍車がかかり、5分過ぎではもうムチャクチャで凄すぎ。 6分半からのベースソロは音数は少ないが渾身の力が籠もっており、スピリチュアルにも響く。 3曲目、これまたキツイ音でBangによるメロディーが突っ込んでくる。「ギュュュ〜!!!」という 「どうやってその音出すの?」とツッコミを入れたくなる超フリーキートーンも交え、もうBangの独壇場。 間歇的でフリーなドラムの絡みもまた良し。ベースは相変わらずの野太い音で、3拍子を刻む。

 4曲目、なんとなく幌馬車とかカウボーイとか、アメリカ中西部的なイメージっぽい、 コープランドの「ロデオ」を思い出してしまうような明るい3拍子曲。7分半の5曲目はフリー・ジャズ。 そして全編にわたりBilly Bangによる驚天動地のアドリブ・プレイが聴ける。 弓弾きとピチカートを同時にやっているような、不思議な技も。 6曲目は3分半と短い曲。ゆったりとした6/8拍子のリズムに乗って印象的で牧歌的なメロディーがBangにより奏でられる。 ハードな楽曲の連続した後だけに、優しいメロディーに涙溢れる。

 以上のように、本作は超硬質なアコースティック・ジャズでありますが、 Thirsty Earレーベルの他作は、多くがDJ(クラブ音楽?)とフリージャズが ドッキングしたような音楽が多いらしい。そっち方面まではまだあんまり首を突っ込んでいないので多くを語るのは無理ですが。 いずれにせよ、今、最も進取の気概に溢れているレーベルの一つであるに違いなく、今後の動きに要注目。

 


2005/03/08 作成