Top Pageへ

Miles Davis / Live at The Fillmore East (March 7, 1970) It's About That Time

曲目 参加ミュージシャン
First Set
1. Directions
2. Spanish Key
3. Masquarelo
4. It's About That Time

Second Set
5. Directions
6. Miles Rans the Boodoo Down
7. Biches' Brew
8. Spanish Key
9. Yester Now #5 (Full Nelson?)
Miles Davis (tp)
Wayne Shorter (ts,ss)
Chick Corea (elp)
Dave Holland (b)
Jack DeJonette (ds)
Airto Moreira(perc)
録音年:1970  
 いわゆる「ロスト・クインテット」プラスアイアートによる、ニューヨークのフィルモア・イーストにおけるライブ録音。 発売は、確か2001年頃。内容的には「At Fillmore」に近いが、こちらはCD時代ならではの無編集。 ライブが丸ごとノーカットで入っている。マイルス生前に発売されたオフィシャルものでは、当時のマイルスの ノーカットライブといえば、Black Beauty。あんまりイイものではない。 ところがマイルス没後、ドカンドカンと、2003年現在、未だに(というか、以前にも増して) 毎月のように発売(発掘)される新譜ブートレグから、ノーカットでも十分通用する素晴らしい演奏をしていたことが明らかとなった。 なんでこういうのをリアルタイムで発売できなかったのか。LPの時間制限だけが理由とは思えない。 やはりブラックミュージシャンに対する理解のなさがどうとかこうとか考えたくなってしまうのは素人考えか。

 さて本作、ブートレグがたくさん出てしまった後、さらに「1969Miles」というこれまた悶絶もののオフィシャル盤 が発売された数年後ということもあって、そろそろこの当時のマイルスミュージックもお腹いっぱいかと思った後に聴いたわけであるが、 いや、これ、ホントに凄い。音質・内容共に、1970年のマイルスものとして最高ランクに位置する録音・演奏であると思う。

 まずは1枚目のCDでファーストセット。毎度の如くDirectionsからスタート。アタマカットのフェードイン。 どうもこの時期のマイルス、録音を失敗してしまうのか、アタマカットがやたらと多い。 とはいえ、入ってくる音は、ベースのビートが異様にハッキリ前面に出て、 ノイジーなエレピと破壊的なドラムが渾然一体となって両耳を襲ってくる。そして2管ユニゾンによるテーマ。 決まりすぎだ。続くSpanish Key、導入部〜ブリッジ部まではノリノリでいいんだが、キメの「ジャッジャージャッジャジャーーン」 がいまいち炸裂しない。「At Fillmore」でSpanish Keyがほとんど出てこないのはこのためか。 その他ブートにおいても、ライブでのSpanish Keyは、確かにBiches Brewにおける「必殺」と思えるブリッジ部がバシッと決まるものが無い。 アドリブ自体はいいんだが、Spanish Keyならではのキメが決まらんことにはもう一歩。ちと贅沢すぎるか。 お次Masquarelo、テーマがビョーーーーッ!っと高らかに鳴り響く。電化時代のMasquareloは、いつもいつもかっちょいい! It's About That Timeでのマイルスのアドリブは激しく絶好調。バックの3人も縦横無尽。 どうでもいいが、ゴンタくん(クィーカーby Airto)は遠慮気味だ。もうちょっと前面に出てくれてもいいような気がする。 続くショーターはソプラノで得意のフレーズを大放出。指がそろそろ引きつりはしないか。
 2枚目のCDに入れ替え、セカンドセット。ファーストセットで録音レベルも決まったのだろう、 おどろおどろしい導入部分からバッチリ入っている。ファーストセットと同じく、まずはディレクションズ。 アイアートを除く5人、もういきなり熱すぎ。しかし、ショーターソロのベベボボベベボボというフレーズ、 しつこいわりにあんまり面白くないぞ。手抜きか。 続いて、マイルスのリフに導かれて始まる曲は、Miles Runs the Voodoo Down。いつもよりちょっとスローテンポでアーシーな感じ。 意外にリラックスして聴ける感じがいい。 ショーターソロの後、マイルスのリフによる合図無しに次のBiches' Brewへなだれ込む。 緊張感ピリピリのイントロ、そしてインテンポへ移る時のキマリ方、これがなかなか、 いくつかあるライブの中でも最上の部類ではないですか。 そして、バラララララ〜、というマイルスのリフに乗って必殺になるかならないか、期待半分でSpanish Keyが始まる。 マイルス絶好調、う〜ん、かなりいい出来。あとはブリッジがどうなるか、さあ、どうだ、来たぞ! ジャッジャージャッジャジャーーン!う〜ん、まぁこれくらいで許すしかないか、ライブの中では最高かもしれない。 Spanish Key最後で、マイルスはIt's About That Timeのリフを吹くが、何故かリズム隊が反応しない。 ホランドが何故かYester Now #5のパターンを繰り出す。マイルス、しつこくIt's About That Timeを吹く。 一体どっち?と思ううち、結局Yester Now #5にまとまる。 私、この時期ではこの曲が一番性に合わないんだよなぁ、と思ううち、 ムムム、聴いたことのないベースパターンが繰り出される。 これに乗ってマイルスも調子に乗ってくる。Spanish Keyのブリッジ前のフレーズも何度も飛び出す。 一体なんなんだ、この何でもアリな展開は。やけに面白い。

 電化マイルスを聴きすぎたからか、贅沢な注文はそこかしこにあるのだが、 本作、ロストクインテットものとしては最高の部類であろう。

 


2003/06/06 作成