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John Coltrane / Live in Japan

曲目 参加ミュージシャン
Disc I
1. Afro Blue (38:48)
2. Peace on Earth (26:27)

DISC II
1. Crescent (54:36)

Disc III
1. Peace on Earth (25:05)
2. Leo (44:51)

DiscIV
1. My Favorite Things (57:19)
John Coltrane (ss, ts, as, perc)
Pharoah Sanders (ts, bass-cl, as, perc)
Alice Coltrane (p)
Jimmy Garrison (b)
Rashied Ali (ds)
録音年:1966  

 1-2枚目は1966年東京サンケイ・ホール(7月11日)、3-4枚目は東京新宿厚生年金会館(7月22日) におけるライブを収めたもので、総計CD4枚組で6曲です。しかもPeace on Earthが2回も入ってます。 いいんでしょうか、こんな野放し丸投げアルバム・・・って、いいんです、それで。 こういう風にライブ丸ごとパックのCDが滅多に出ない昨今の状況の方がむしろ大問題だと思います。

 まぁ正直、私のライブ体験なんてゴミみたいにかなり少ない方ですけど、 故Elvin Jonesや、Pharoah Sandersはですね、ライブ1回70-100分で3曲くらい、 つまり1曲で30-40分も延々と平気で演奏するし、フリーの人たちもワンセット45分くらい、 延々と演奏をぶっ続けたりするのです。中にはツマラナイものもあるでしょうが、 スタジオ録音作品なんかよりも遙かに熱く楽しい演奏がライブで繰り広げられることもしばしばです (Pharoah Sandersはだいぶダレてましたけど・・・)。 あ、二人ともColtraneバンドの超重要人物でしたね、 だから彼らのライブはそんな風になるんだろうか。

 まぁそれはさておき。
 特にElvinなんて、ライブ演奏をそのままCDにしてくれればあっという間に 名盤が大量生産されるに違いないと思うのですが、そういうアルバムは非常に少ないです。 幸いElvinリーダーのライブアルバムはいくつかありますが、 ライブにおけるElvinの本当の凄さをきちんと伝えているのは ピットインにおける至上の愛ライブだけです。 Live at the Lighthouseも名盤の誉れ高いライブアルバムで、確かに凄い内容なのですが、 至上の愛ライブの方がずっと凄い!と私は思います。 DVDは逝去の後に2枚発売され(うち1枚はVHSの再発)、 そのうち1枚、シュトゥットガルトでのライブ(=再発の方)は非常に素晴らしいです。 同DVDにおける「花嫁人形」の熱演は必聴です! でもね、悪くはないけど本当のエルビンの凄さが半分以下しか伝わってこないスタジオ録音盤の 多さに比して、真価を発揮したライブアルバムがあまりにも少なすぎるという印象が拭えません。

 Pharoah Sandersのライブアルバムは80年代初期の 「Live」と「Heart is a Melody」が最後で、その後リリースされていません。 まぁ彼場合はその後25年経った今でもライブの雰囲気は「Live」とほとんど一緒なのですが、 それでも、Venusレーベルでスタジオ録音した屁の出そうなバラード集なんかより、ライブの方が遙かに楽しいです。

 一方、60年代のコルトレーン、山のようにライブアルバムがあります! 音楽業界が、音楽を金のなる木としか見ていない現在のような惨状になる以前の時代だったのでしょう、 今現在では考えられないようなハイペースでコルトレーンのライブが録音され、リリースされていました。 お陰で、コルトレーンの命は短かったものの、十分な量の素晴らしい遺産が残りました! いずれのアルバムも怒濤の如くの長尺演奏を含んでおりますが、 中でも本作が「ゲップ度」において最高峰でしょう。 なんせ2ステージ分、CD4枚組、そしてたった6曲!漢だ!

 とまぁ喜びの声を上げるのはいいんですけど、正直、 CD1枚分だけでも通して聴くのはたいへんしんどいです(汗)。 特に、若き日のファラオ・サンダースによるフリーキーかつアブストラクトな アドリブが延々と続く辺りなんて、集中力が保たず、音の洪水の中でも 頭は別のことを考えていたりして。 2枚目および4枚目冒頭の超スーパーベリーロングロングベースソロもきついですね。 Garisonによる入魂のベースソロ!が15〜20分もたっぷりと堪能できる!のです(泣)。 なかなかこれも、集中力は5〜6分が限界です。 ピアノソロもジャンバラジャンバラやってるばっかでけっこうしんどい・・・って、 コルトレーンソロ以外全部しんどいですか?! ええ、どうやら私にっとってはそのようであります・・・。

 でもね、素晴らしいプレイはそこかしこにあるのです。 本作で私が最も痺れるところは2枚目、Crescentにおけるコルトレーンのテーマ吹奏部分です。 冒頭Garriosnの超ロングベースソロに耐えると、又は早送りで飛ばすと(汗)、コルトレーンが入ってきます。 この渾身の力の込もったテーマ、まさしくスピリチュアルと言うに相応しい演奏で鳥肌立ちまくりです! 最近そこかしこに転がるようになったチンケな「スピリチュアル」とは訳が違います。 まさしくそこに神が舞い降りている、そういうスピリチュアルです。 Paroah Sandersのソロは、その後のコルトレーンソロに比べ長すぎるのが難点ですが、 この曲では比較的聴ける展開が多くて安心して聴けます。 後の方のコルトレーンソロ、および最後のテーマにも痺れまくり!

 3枚目、Peace on Earthの、優しい演奏にも心打たれます。 3枚目の2曲目、Leoの一番最後の所がこれまた聴きモノです。 曲は最後に、冒頭部と同様のペペボボペペボボという咆吼によるエンディングへとなだれ込みます。 そしてリズム隊3人がいつまでもエンディングを引っ張り続けている間に、 日本語の司会が被さってきます。

 「花束の贈呈を・・・」「花束の提供は××レコード、××放送・・・」
 「2時間10分にわたる熱演・・・、皆様お疲れのところとは思いますが・・・」 とか言ってます。

 コンサートが予定時間を大幅にオーバーしてしたのでしょう。 早く会場をカラにしないと・・・、という焦りが見えてきて笑えます。 このようにして天上の音のようだった演奏が、あぁ、地上で、しかも東京で行われていたんだなと 現実に戻される瞬間なのですが、何とも微笑ましく、笑えるます。 汗だらけになって大真面目に吹き続けているコルトレーンたちに、 彼女ら(まぁ普通女性ですよね、花束渡すのは)は花束をどうやって渡したんでしょうか。 もの凄い勢いでオドオドしてるんじゃないか、足下に置いて逃げ出したんじゃないか とか想像すると、猛烈に可笑しいです。 「皆様お疲れのところとは思いますが」というのもサイコーですね。 多分、アナタ自身も、このコンサートにたいへんお疲れだったのではないでしょうか(笑)。 同様のアナウンスは2枚目Crescentでも聴けますが、ちょっと短いです。

 クレジットを見ると、その司会者はなんと「団しん也」です。凄いですね。時代を感じます。 私は彼を、普通にコメディアンだと思っていたのですが、念のためググってみると、 なななんと彼は古賀政男最後の弟子で、最近はジャズシンガーとして活動していて、 2007年5月2日には名古屋ブルーノートに出演までしているということが分かりました。 まぁ最近はブルーノートも「世界のYazawa」に出てもらったりして金稼ぎのため必死のようですけど・・・、 団しん也に関しては、経歴から見てもかなり真面目なジャズシンガーなのではないかと想像します。 彼が古賀政男に弟子入りしたのは1964年とのことですから、このライブの2年前です。 そうか、このコンサートの時点で、既にジャズシンガーを目指していたんだなぁと思うと 感慨深いものがあります。頑張って欲しいです。機会あったら彼の歌も聴きに行ってみたいなぁなんて・・・。

 そして4枚目、必殺かつ究極のコルトレーン作詞作曲のオリジナル(笑)、My Favorite Things! あ、まずはGarrison超ロングのn乗のベースソロですが、まぁそれは何とか耐え抜いて・・・、 やっとグギョーードシャーン、ベロレーーーーと本編が始まったかと思ったら、 残念ながら初めしばらくは、コルトレーンもファラオも揃ってアルト・サックスを吹いてます。 この来日時にヤマハからプレゼントされたそうで、嬉しくてすぐ使ったらしいのです。 しかし、慣れない楽器のせいでしょう、音に芯が無くヘニャヘニャです。全く飛んでいません。 アルトなんか使わず、ソプラノおよびテナーで攻めて欲しかった。 このように超ロング何とかに耐えたうえに肩すかしを食らってしまい、かなり辛さ倍増なのですが、 冒頭テーマの後は、コルトレーンはソプラノ、ファラオはテナーで挑み掛かってきます。 ここからが体力との勝負です。 ファラオのアドリブにコルトレーンのソプラノが掛かってくるところ、 そして最後のソプラノによるテーマ、やはり痺れますね! My Favorite Thingsはソプラノでないと!

 以上、何度も書いたように、疲れます、しんどいです。あまりお勧めできるものとも思えません。 私もそう再々聴くものではありません。カーステレオでこれ流したら、我が奥方は必ず爆睡します。 多分、たいへん疲れる眠りを体験していることでしょう。 しかしですね、耐えるからこそ、疲れるからこそ味わえる無上の感動がここにある。 それだけは間違いない。そう思うようになるまで無理したのは確かですが、 今現在は素直にそう思います。


 


2007/05/05 作成