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John Coltrane / Live at the Village Vanguard Again

曲目 参加ミュージシャン
1. Naima
2. Introduction to My Favorite Things
3. My Favorite Things
John Coltrane (ts,ss, fl,b-cl)
Pharoah Sanders (ts, fl)
Alice Coltrane (p)
Jimmy Garrison (b)
Rashied Ali (ds)
録音年:1966  

 まずはコルトレーンのバラードの傑作、「Naima」。コルトレーンによる美しくもスピリチュアルなテーマ吹奏の後、 Sandersがフラッター奏法でコンニチワ。すぐに何の曲だか分からなくなる。 このアルバムにおけるサンダース、初めはなかなか好きになれなかったが、だんだんよく聴こえるようになってきた。 というか、慣れただけだろうか。プギョプギョと徹底的に破壊にかかっている姿がかっこいい。 時折聴かれる苦しげなロングトーンや「Naima」のフレーズの片鱗に、 開きっぱなしの口からヨダレが流れていたことにハッと気が付く。 10分30秒から、コルトレーンによる、もっと分かり易い、というか、フレーズを追いやすいソロが繰り広げられる。 サンダースの後では、過激な時代のコルトレーンのソロが、普通に、より和声的に聴こえる。 コルトレーンのソロは、純然と感動的である。終わり方はいつもの「Naima」と一緒であるところがまた、音楽的で美しい。

 2曲目は、Garrisonによるベースソロが6分。これくらいならまだ耐えられる。 この程度の長さに押さえてくれれば、5分頃のトリルに緊張感を感じることもできる。 ベースソロに導かれて、そのまま3曲目、というか、2曲目の本編に突入する、ように聴こえるが、ちゃんと切れている。 当時のGarrisonのベースソロには20分近いものもあるので、これでも相当カットしたのであろう。

 必殺「My Favoite Things」はなぜか4拍子を刻むベースに乗って始まる。全員突っ込んでくる、のはいいが、異常な緊張感に包まれる。 なんだかムチャクチャのようだが、コルトレーンのソプラノは紛れもなく「My Favorite Things」である。 混沌としたまま、クインテットが突っ走る。 いつになったらテーマになるのだ、と身構えていると、3分頃、遂にお待たせ、 急激にMy Favorite Thingsのテーマにクインテットが纏まる。お得意のトリルによる飛翔も聴ける。 気分は最高! Sandersの一聴ムチャクチャに聴こえるタンバリン、およびAliの生み出す波動的ビートも、たまらん。 さらに激しく素晴らしいのが長調的になるテーマブリッジ部、そこでコルトレーンがかます一瞬のリードミスも、 計算済みで出しているかのように素晴らしくフィット。決まりすぎだ。 もういっかいパーララパーララのテーマに戻るが、ターラーラー ターラーラー ターラーラララーーンに入る前の 4小節で入れる高速フェイクがまた強烈である。ここまでの間で5回くらい鳥肌が立つはずだ。 ベースソロのみならず、Naimaまでもが本曲のイントロであったかのようである。

 激しくも感動的なテーマの後は、破壊的なサンダースのソロ。さらに風速を増した突風が吹く。 サンダースソロの後ろで、コルトレーンは一時的にフルートを吹いたり、一緒になってテナーで吠えたりするが、 サンダースソロの最後にはソプラノで絡みつく。そして遂にコルトレーンによる激情的、 しかしあくまでも和声をベースとした、サンダースとは対照的なソロが始まる。これが、これが聴きたかった。 もう無敵である。このまま無駄なピアノソロ抜きで曲は終焉を迎える。これでいいのだ。 Atranticでのアルバム「My Favorite Things」における本曲なんぞを聴いている場合ではない。 ここでの演奏は、「My Favorite Things」の決定盤と言ってもいいくらい、感動的で素晴らしい。

 本作は、晩年のコルトレーンクインテットの中では、恐らく最も聴きやすい作品であろう。 フリージャズとはいえ、恐れることは無い。 私は、至上の愛と本作のお陰で、コルトレーンの偉大さ、素晴らしさを知ることができた。

 


2003/06/08 作成