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Don Pullen / Sacred Common Ground

曲目 参加ミュージシャン
1. The Eagle Staff Is First
2. Common Ground
3. River Song
4. Reservation Blues
5. Message in Smoke
6. Resting on the Road
7. Reprise: Still Here
Don Pullen (p)
Carlos Ward (as)
J.T. Lewis (ds)
Mor Thiam (african perc)
Joseph Bowie (tb)
Santi Debriano (b)

Chief Cliff Singers (auld-vocals and drums)
録音年:1995年3月  
 燃えるピアニストDon Pullenの遺作。 現在入手困難盤ですが、是非とも再発して欲しい名作です。

 それにしても、本作を手に入れるのには本当に苦労しました。 ジャズレーベル中最大手のBlue Noteから出ているというのに、 また同レーベルからは40年以上前に録音された作品は何度も何度も再発されているというのに、 この作品は全く再発されませんでした。日本盤も出ていないはずです。 従って、しつこいですが、あの大手Blue Noteの作品でありながら、かなりの入手困難盤であり、 恐らくこれから先も当分、もしかすると永遠に入手困難盤のままであろうと思います。 まぁ一応、ダウンロード販売では簡単に聴ける状態にはなっていますけどね。 あれはDRMとかでコピー制限だなんだと超面倒くさくて非常にユーザーフレンドリーじゃない形式で、 現状のままでは死んでも買ってやるもんか、というシロモノであります。

 まぁ世の中に対する不満はともかく、私はAmazon.UKのマーケットプレイスでやっと見つけて買ったのですが、 今度は買った直後に横浜Unionで中古で売ってるのを発見してしまったりと、 非常にタイミングが悪くて・・・、まぁよくあることではあるんですけどねぇ・・・。 私はPullenセンセイは大好きでして、コンプリートとは言わないまでも、Pullenのリーダー作で CDで入手可能なもののうち9割方を入手しており、あと本作さえ手に入れれば(もちろんコンプではないけど) もういいやと思える最後の砦だったのですが、その最後の砦の入手に際して上述のようなケチが付くのは ちょっと悲しいものでありました。まぁそれも過ぎたこと。手に入ればいいんです。

 さて、探しに探してやっと手に入れた本作、内容の方はと言いますと、かなりの良作!で嬉しかったです。 アフリカの野性的なコーラスと単純で土俗的なパーカッション(を再現した)グループとの共演でして、 だいたいこういうアフリカアフリカした作品って、期待の割りにはクサイ内容のものが多くて 不吉な予感がしていて(ex. David Murray, Abdullah Ibrahim (Dollar Brand), Randy Weston)、 まぁ確かに本作もクサイところがあるにはあるのですが、 Pullenの卓越したメロディーが全てを包み込み、野性的ではあるものの心に残る作品に仕上がっています。

 1曲目はアルバムのイントロ風。ズンズンと突き進むリズムに乗って2管が簡単なリフを繰り返す。 コーラスがアイヤーアイヤーと、またプーレンが拳奏法でギュルギュルと絡む。 2曲目は大地の神への祈りのような独唱の後、ポロポロと寂しげに入ってくるピアノが心にグググッときます。 涙無くしては聴けません。いんや〜、Pullen先生、こんなドライな音で、こんなにロマンチックすぎでいいんでしょうか。 泣け、ただし涙は拭くな、という感じです。 曲の最後にはコーラス隊&アフリカンリズムが入ってくるですが、どうしてこう繋げたかったのか、 その深淵なる意図は私にはワカランのでありますが。

 3曲目、African Perc&コーラスに加え、Mor ThiamとJ.T. Lewisが生み出す土俗的なリズムが終始支配する。 4曲目はアフリカンなリズム感を活かしたアーシーなブルース。p, tb, asが付かず離れずの いい距離感で同時進行的にアドリブを進めるのがなかなか良い。 5曲目の美しくも攻撃的なピアノのイントロの後は単純で土俗的なリズムとアフリカンコーラスに。 tb, as, piano, ds, bassが好き放題入り乱れる、ちょっとフリーで攻撃的な展開に痺れます。

 Afro-Americanのジャズメンがアフリカをテーマにアルバムを作ると、だいたいこの3曲目〜5曲目 みたいな土俗的リズムの曲ばっかりで全部埋め尽くしてしまい、飽きのくるものになりがちなんですよねぇ〜。 一つ一つは悪くないんですけどね、そればっかというのもちょっと・・・。 その点、本作は「俺のメロディーを聴け!」とばかり、2曲目や次の6曲目のような曲の入っているのが良い所です。

 さぁ、6曲目はいかにもPullen作らしい、全てを包み込む大らかで優しく、 かつ男気溢れるバラード"Resting on the Road"!素晴らしいメロディーに悶えまくりです。 この曲は、さきほどちょっと貶してしまったDavid Murrayも、Pullen追悼作 "Long Goodbye"において演奏しており、そちらも必聴の名演です。 この曲はスタンダード化してもおかしくないくらいいい曲で、もっと多くの人に演奏され引き継がれていって欲しいと思います。 そうなってくれれば、本作だって再発されるかもしれません。 だから、David Murrayとか、Pullenの弟子のD.D.Jacksonとかにもっと頑張ってもらってですね、 Pullenの「曲」という素晴らしい遺産(Resting on the Roadに限った話じゃありません)もじゃんじゃん活かして欲しいと思います。 しかし、どうも彼らはイマイチ冴えない作品をたびたび作ってくれてしまって困るんですよねぇ・・・。

 


2007/06/02 作成