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Chick Corea / The Mad Hatter

曲目 参加ミュージシャン
1. The Woods
2. Tweedle Dee
3. The Trial
4. Humpty Dumpty
5. Prelude to Falling Alice
6. Falling Alice
7. Tweedle Dum
8. Dear Alice
9. The Mad Hatter Rhapsody
Chick Corea (p, kb, syn, etc.)
Joe Farrel (fl on 3, 5, 6, 8, 9, ts on 4, 6)
Jamie Faunt (b on 3, 5, 6, 7)
Harvey Mason (ds on 3, 5, 6)
Gale Moran (vo on 3, 6, 7, 8, 9)
Eddie Gomez (b on 4, 7, 8)
Steve Gadd (ds on 4, 7, 8)
Herbie Hancock (elp on 9)
brass section added on 3, 5, 6, 8, 9
strings quartet added on 2, 3, 5, 6, 7, 8, 9
録音年:1978  
 Chickといえば何と言っても"カモメのRTF"であると語られがちだが、 私はこの"Mad Hatter"がChick Coreaの最高傑作と信じる。 確かに"カモメ"も凄いアルバムだが、トータルアルバムとしてここまで完成度の高い作品はちょっと他には見あたらない。 普通、どれだけいいアルバムだと思っていても中に2、3曲はつまらない曲が入っているものである。 しかし、本作に限っては全てが聴き逃すことのできない感動的な音の連続なのである。 このアルバムを聴き始めたら、それから50分間、 最後のフェードアウトまでじっと音楽に身を委ねる以外何もできなくなる。

 オープニングの"The Woods"が"The Mad Hatter"の怪しい世界に早速引き込んでくれる。 バルトークの弦楽四重奏のようにも響く"Tweedle Dee"、 ミュートトランペットとMoranのボーカルが怪しさを爆発させる"The Trial"と、 ちょっとおどろおどろしくも緊張感の高い楽曲が続く。そして正統派の4ビート"Humpty Dumpty"へ突入、 ここが一回目のイキどころ。本曲はChickのこれまた名作の一つ"Friends" と同じメンツで演奏されており、そちらのセッションと同様に熱く、かつリラックスした好演である。 いつもながらGaddのドラムは雄弁である。

 厳かに始まる"Prelude to Falling Alice"、次の "Falling Alice"へ向けて一気に登りつめ、 トランペットにより"Falling Alice"のテーマが高らかに鳴り響く。 ストリングスとブラスセクションが重厚なサウンドを創り出す。Chickが、Joe Farrelが、ソロで飛び出す。 Harvey Masonのドラムが煽る。テーマに戻り、最後はChickのピアノによるカデンツァ的展開を挟み、 ストリングスが最後も厳かに締めくくる。

 次の"Tweedle Dum"は"Dear Alice"への導入部分である。しかしただのプレリュードと侮る無かれ。 ここにおけるMoranのボーカル、Chickのピアノ、Jamie Fauntのベース、strings quartetは凄まじく 波長のあったアンサンブルを聴かせる。時に繊細に、時に重厚に、たった2分51秒の短い曲だが、 恐ろしくドラマチックであり、全てがイキどころである。"Dear Alice"冒頭では、 Gomezがベースという楽器とは思えない音列をつむぎ出している。Chickのピアノソロの熱さ、 またそれをあおり立てるGaddのドラムも激しい。最後はリラックスムードの"The Mad Hatter Rhapsody"。 ここではChickとHarbieが仲良く順番にアドリブソロをとり、ソロを取っていない側がバッキングをつとめる。 先発はChick、しかしHarbieのバッキングの方に耳がいく。ブリッジを挟んでHarbieがしゃしゃり出てくる。 やっぱりHarbieってかっこいいメロディーを弾くんだなぁとつくづく思う。 テーマを挟んでラテン的に展開し、最後はFalling Aliceのメロディーが再現されてフェードアウト。この最後の最後もカッコ良すぎ。

 なお、"The Mad Hatter"は私のfavorite album No.1に、7-8年は君臨していた。 Chickよ、Originなんかやめて、もういっぺんこっちの世界に帰ってきてくれ!とも思うが、 ひょっともすると"このスタイルじゃぁ、Mad Hatter以上のことはもう出来ん"と彼は悟っているのかもしれない。

 


2003/05/31 修正