Top Pageへ

Chick Corea / Return to Forever

曲目 参加ミュージシャン
1. Return to Forever
2. Crystal Silence
3. What Game Shall We Play Today
4. Sometime Ago / La Fiesta
Chick Corea (elp)
Joe Farrell (fi,ss)
Flora Purim (vo,perc)
Stanley Clarke (b)
Airto Moreira (ds,perc)
録音年:1972  
 世間でChick Coreaといえば、やはりコレ、カモメジャケットの"Return to Forever"である。今もChickはジャズシーンの第一線で活躍しているというのに、未だにChickといえばコレなのである。"Mad Hatter"のところで書いたことをここでも蒸し返すが、やっぱりChickには70年代の冴えを取り戻して欲しい。Chickは未だに多くの人にとって"RTFの人"であって、決して"Elektric Bandの人"でもなければ"Originの人"でもない。
 本作が常に"名盤100選"のような企画で必ずランクインするその真の理由は、全てラスト9分の"La Fiesta"があるからにほかならない。もし"La Fiesta"が別のアルバムに納められていたとしたら、絶対そっちの方が"名盤100選"に選ばれるはずである。4曲目は"Sometime Ago"と"La Fiesta"がつながっていて間に曲を仕切る信号が入っていないが、"La Fiesta"は14:12からの、エレピソロによる厳かな導入部により始まる。イントロが終わって3拍子リズムを刻み始めてから後は、最後まで狂乱の祭典の如しである。5人のプレイ全てが鳥肌モンである。そして最大の鳥肌ポイントは20:30あたりから始まるChickのアドリブパート、しかもそのドアタマの部分だろう。ここで飛び出す走り気味のS. Clarkeのベースが信じられないようなスピード感のあるグルーブを生み出す。Airtoのドラムがシンバルも割れよとばかりに終始激しく煽る。Flora Purimはここでは歌わず、カスタネットを初めとする各種パーカッションを操るのみだが、絶妙のタイミングで割り込んでくる。Joe Farrellのssも、縦横無尽。間違いなくこれは最高最大に血沸き肉踊るジャズである。"La Fiesta"には、最初から最後まで圧倒されっぱなしである。
 "La Fiesta"が凄すぎて他が完全に霞んでいるのだが、2曲目"Crystal Silence"も名曲・名演である。しかしこの曲はずっとルバートで演奏され、リズムらしいリズムが出てこないがために、一聴ではなかなかその良さが見えてこない。しかし何度か聴いているうちにメロディーラインがつかめ、じわじわと心に滲み込んでくる。
 ところでこのアルバムについて一つ提言がある。次に再発するときは是非、"Sometime Ago"と"La Fiesta"の間に、曲を分ける信号を入れて、"La Fiesta"を晴れて5曲目として独立させて欲しい。世には"Sometime Ago"をわざわざ早送りして"La Fiesta"だけ聴いている輩は(私自身を含め)ゴマンといるはずだ。今の世の中、時は金なりである。アルバム単位(もしくはLP時代のA面B面単位)で聴いている時間が常にあるわけではない。"Sometime Ago"だっていいんだけど、こういう編集のおかげで、"La Fiesta"に必ず金魚の糞のようにひっついてくる曲だという印象が拭えないのである。1曲目の"Return to Forever"だってたいがい長いのに、こっちの方がえらく長く感じられる。"La Fiesta"を分離独立させることにより、"Sometime Ago"も正当に評価されるようになると共に、本作の価値だって上がるに違いない。
 最後に蛇足だが、(アルバム単位ではなく)曲単位で見ると、"La Fiesta"はMy FavoriteのNo. 1に、6年ほど燦然と光り輝き、色あせることがない。きっと死ぬまでその地位は揺るがないだろう。だからこそかもしれないが、"La Fiesta"の分離独立は私の悲願の一つでもある。

 


1999/08/03 作成