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Art Ensemble of Chicago / Full Force

曲目 参加ミュージシャン
1. Magg Zelma
2. Care Free
3. Charlie M
4. Old Time Southside Street Dance
5. Full Force
Lester Bowie (tp)
Joseph Jarman (sopranino-sax, ss, as, ts, brs, bass-sax, bass-cl, cl, bassoon, piccolo, fl, alto-fl, conch shell, vibraharp, celeste, gongs, congas, whistle) (Right Channel)
Roscoe Mitchell (ss, as, ts, brs, bass-sax, piccolo, fl, cl, gongs, glockenspiel, congas) (Left Channel)
Malachi Favors Maghostus (b, perc, melodica, vo)
Famoudou Don Moye (ds, bells, bikehorns, congas, tympani, bongos, chimes, gongs, conch shell, whistles, wood blocks, cow bells)
録音年:1980  
 CDが世に出始めの初期、本作はCD化されましたが、 名作の誉れも高いというのにその後再発されず、近年長らく入手困難盤でありました。 中古屋やインターネットで、本作を2年ほど探したものです。

 私にとって、本作がなぜそんなに気になる存在だったのか、少々説明を致したいと思います。 最近のジャズ雑誌はぜーんぜん面白くないので、昔の「ジャズ批評」誌を 中古本で買ってきて読むのが面白くハマっておりまして・・・、それを見ていると、 80年頃、多分本作発表のすぐ後頃だったのでしょう、「ジャズは今80年代へ向かって」 という特集号において、多くの人がこの「Full Force」と「People in Sorrow」の2作でもって Art Ensemble of Chicagoを持ち上げていたのがとても印象的で、 是非とも聴いてみたい、と思ったわけです。 ですが上述のように入手困難で・・・、と、まぁそんな状況(=聴きたいけど手に入らない状況) にある作品はこれだけでは無いですが、聴きたい!という気持ちが非常に強い作品でありました。 ちなみに同時代、Richie Coleという人もえらく持ち上げられていたんですね。 こちらは今や誰ですかアンタ級に忘れ去られているのではないだろうか。 いや、そういえば2000年ちょい過ぎ頃録音の彼の「West Side Story」がけっこう好きだったかもしれない。 けどなぁ、やっぱりほとんど注目されていないよなぁ、Richie Coleは。

 まぁ、関係ない人の話はさておき。 「Full Force」を初めて聴いたのが、確か2003年8月末。 K様と石垣島へ行った時、たまたま寄った現地のJazz喫茶に於いて、でした。 居酒屋で夕食を済ませ、もう一杯いくかね?と石垣島の中心街のアーケードを歩いていたら、 なんとこんな所でジャズ喫茶を発見! こんな南の島でJazz喫茶なんて、なんて似合わないんだろう。 これは行ってみるしかない、ということで潜入。どうやら先客は無し。カウンターにはお姉さんが一人。 他の客も来そうもないから、恐る恐る「リクエストしてもいいですか?」と尋ねると 「どうぞどうぞ」とのことで、本作をリクエストしたのでした。 ところがその方、そんなに詳しくないようで、
女性「アート・・・何でしたっけ?アートアンサンブルオブシカゴ?それはグループ名ですよね?
   リーダーはどなた?リーダーの名前の列の所にあると思うのですが・・・。」
私「レスター・ボウイと言いますが・・・、でも普通、ArtのAの所に入れると思うんですけど・・・」
女性「レスター・ボウイ?綴りは?」
とか聞いてくるので・・・、いや、何ともはや・・・。 ECMのジャケットだからあんな感じの背のはず、あのあたりがAの列っぽい・・・、と思い、 カウンターの中へ入れてもらい、そこから本作(CD)を引っ張り出してかけていただいたのでした。 本作を見つけた時の喜び、筆舌にしがたいものでした。

 で、聴いてみると・・・、あまりに意味不明の音が多くてですね・・・、 1曲目にしろ4〜5曲目にしろ、ホントーに、あ、フリージャズなんですね、という感じで・・・。 あまりに場の空気に似つかわしくなく、また1曲目でドカガシャしている間に他のお客さんが1人2人3人と入ってきて、 なんだか常連さんぽいみたいで、「変わったのかかってるね」とか言うし、お姉さんは小声で「リクエストなんです」 なんて言うし、もう大迷惑なんじゃないかとドキドキしつつ、普通、ジャズ喫茶ではレコード片面分でリクエストは終わりだから、 もうちょっとの辛抱、とか思っていたら全部かけ続ける勢いだし、うわ〜どうしよう!と大焦り。 「3曲目は飛ばして下さい」と、まぁそんな風に、猛烈にドキドキしながら聴いたのでした。 なんか、聴いたって感じ、あんまり無かったですね(笑)。 カウンターの女性は「変わった曲ですね」なんて・・・、あの〜、まぁそりゃ変わってますがな。 で、これが終わったら「他にリクエストありますか、遠慮しなくていいですよ。」なんて、 それで「次はPeople in Sorrow」とか言うわけにもいかないし(爆)、顔を赤らめつつご遠慮した次第。 そしておもむろに他の客にリクエストを聞き、「何でもいいよ」とのことで 「ではMJQでも聴きますか」ということになり次はMJQの「Last Concert」になりました。 あぁ、やっと普通にくつろげるジャズ喫茶になった(笑)。

 私にとって、本作との出会いは上述のように、たいへんな曰く付きだったのでした。 そしてそれから約2年後、2005年5月頃、横浜HMVで本作の新品が売られているのを発見! 「ゲッ、どこから出てきたんだ?」などとは疑う余地も無く、今逃したらもう出会えるチャンスは無いと思い即ゲット。 ところがそれから1ヶ月もしないうちにDisk Unionで中古盤が出ているのを目撃。 ありゃりゃ・・・、ついこの前まで超入手困難だったのに、いったいこれはどうしたことだ?、と思ったら、 海外で再発されたようで、その後方々のCD屋でも輸入盤を目撃することになりました。 そんなわけで、下に述べるようにとっても楽しいアルバムなので、 超入手困難盤からイッキに入手しやすい盤になってくれて、それはそれで世の中にとって良いことです。 でも2-3年後はわかりません。まぁECMなのでメジャー・レーベルよりは信用できますが。 ともかく、あるうちに買え!と言いたい一枚です。

 長い長い前振り、どうもスミマセン。で、石垣島で聴いた印象では、 チーン・コーン・カーン・ポーヘッ!という静かな部分とうるさくてグシャグシャな部分が交錯するだけ、 という風にあまりいい印象は持っていなかったんですが、どう考えても平常心で聴けてなかったのでしょう、 後からこうして手にとって落ち着いて聴いてみると、メチャメチャ凄いじゃん!!!って思いました。 どうして初めて聴いたときはこの凄さが分からなかったのか、不思議で不思議でしょうがないです。 本作をゲットしてからは、しばらく毎日のように聴き倒すくらい気に入ってしまいました。

 さて1曲目、始めの7分がその「チーン・コーン・カーン・ポーヘッ!」です。 繰り出される様々な音が、それぞれどんな楽器なんだろう?と想像でも少々巡らしつつ、 しかしあまり深く考えず眉間にシワを寄せず、ゆったりと茶でも飲んで寛いで待ちましょう。 前の話を蒸し返しますが、石垣のジャズ喫茶では、この辺で既に「うわっ、ずっとこのままだったらどうしよう!」 とか思って焦りだしたせいで、以後の狂おしいまでの展開のことすら記憶に留められなかったようです。 7分〜10分はベースによる簡単なモチーフが力強く提示された後、 ロスコー・ミッチェルのtsとベースが絡む。 そして10分過ぎ、ドシャーン!と、私が一番大好きなパートが始まります。 テナーサックス2本で左右同時にユニゾンで提示されるリフと ベースパターンが力強く土俗的でビリビリと痺れます。 ドン・モイエのカンカカカンという太堅いシンバル音、これまた太いタムタムの音、 このリズムだけで30分やってもイイです、ってくらい気持ちイイ! 13分からはドラムソロ、程なくリズムが崩壊してドン・モイエが好き放題叩く上に、 他のメンバーが出たり入ったり。 ロスコーミッチェルは10秒ほどずつでせわしなく楽器を変えながら最後はテナーで吠える。 16分半過ぎから右チャンネルから聞こえる異様な音はジョセフ・ジャーマンによるバスーン。 この辺の、特にバスーンが出てくるあたりで、し、しびれる〜! と、私は思うわけです。 ライブなら方々でウア〜とかギャゥ〜とかいう歓声が被りまくるところでしょう。 そして、そんなフリーな展開が整理されるのはそのまま次の2曲目へとなだれ込んだ所。 2曲目はおどけた感じの短い曲。レスター・ボウイの最後の音は調子はずれでひねりまくり。 なんというか、締まっているのか締まってないのかよくわかんないですが、 その辺の意味不明加減がステキ。

 3曲目、普通っぽくフォービートをやっている曲。マイナー調。普通、とは言っても やっぱり後ろで色々聞こえる音は普通じゃないんですが。

 4曲目、急速調のフリージャズ。短いテーマの後、いきなりロスコー・ミッチェルが テナーでハチャメチャなフレーズをギュルギュルと吹きまくる。 スゲー!もしかして循環呼吸も使ってる?次はレスター・ボウイ。 で、その次のジョセフ・ジャーマンが少しテーマを吹くのだが、これはもしかして サックス2本吹きか?続いてソプラニーノで少々のたうち回る。 この間のベースとドラムの煽りも秀逸。しかしいい音で録ってるなぁ。 後はベースとドラムの短い掛け合いを経てテーマに戻ってお終い。突風のような5分間。

 5曲目、頭の方で少々フォービート的な所があるが、一瞬で終わります。 後はとってもAEOCらしいと展開と言ったら良いのでしょうか、 とにかく5人で好き勝手に音を繋いで行っているという感じ。 これも1曲目冒頭部と同じく、 左右の2人の様々な管楽器、ドン・モイエの多彩なパーカッション群を聴きながら 何か忙しそうだなぁ〜、次は何だろな〜とか思いながら、 「オッ、次はバスクラですかい、って、一瞬で持ち替えかYo」とか思いながら、 リラックスして聴くのがいいんじゃないでしょうか。 「北条〜・北条〜」と聞こえる(恐らくマラカイ・フェイバースの)声が 妙に気になるんですけど・・・。

 


2006/06/03 作成