本機の特徴
通常SSB機はクリスタルフィルターを使用したフィルター方式が多い。
この場合IF周波数とIF周波数に変換するトランスバータ用周波数の二つの発振器が必要で、
一度自作SSB機を作ったが、お互いの周波数干渉やスプリアス等があり、出力波形にスプリアスや歪みが多かった。
そこで周波数を単一としたSSB送受信機を製作したいと思った。

送受信を一つの周波数で行なうとすると、
50MHzのクリスタルフィルターで直接フィルターしてSSBを作る方式も考えたが、
50MHzを基本波とする水晶振動子が作れないとのことで不可であった。

他のSSB変調方式として、メリゴ方式に よるSSBジェネレータが考えられるが、
メリゴ方式では、変調周波数の4倍の周波数でスイッチングする必要があり、
50MHzで変調する場合は、200MHzの周波数が必要で簡単ではなくなる。
(200MHzの周波数発振も逓倍回数が多く、200MHzのスイッチング素子も簡単でない。)

フェージング式SSB変調はディスクリートで組むと、調整が難しく、安定度が悪いようだった。
そこでフェージング式SSB変調で良いICがないかと探していたら、
MAX2452で可能らしいとなったので、製作してみた。
MAX2452IC ページへのリンク
ICのカタログPDFファイ ルリンク
サンプル回路へのリンク

受信側は単純なダイレクトコンバーションとして、選択度はAFのローパスフィルタで稼ぐ回路を考えた。

当局の運用は山に担ぎ上げての移動運用がメインですので、軽量/小型/低消費電力を目指して設計しました。

一年前の回路図
受信回路はまだ組んでいませんが、ダイレクトコンバーションなので動作はすると思っています。
フェージング式SSB変調と出力回路を部分毎に、FCZ基板に組み上げ繋いだ段階で、そこそこ綺麗な50MHzのSSB波形が得られました。
以下はこの段階でのまとめです。
現時点の回路図



フェー ジング式SSB変調
PSN ( Phase Shift Network )はRC回路を使って音声帯域(アマチュア無線の場合300〜3KHz)に90度の位相差を得ます。
MAXIMの参考回路の PSN 定数ではなく、コンデンサの値を一定とす、メリゴ方式に よるSSBジェネレータのページの定数としました。

PSNのRCは、
Rは精度2%の金属皮膜抵抗を10本買ってきて、それから誤差の少ない4本を選択して0.1%精度で選択した。
Cは0.01μの100本より同じ値の4本組5組を0.1%精度で選択した。


SSB変調ICに出力するIとQ信号の位相をオシロスコープのX−Y表示で調べると、
180度位相については10KHz程度まで位相差がないが、
90度位相、270度位相については、300Hz〜3KHzの帯域では、下の写真のように、
ほぼ円形に近い形であるが、それ以外では楕円になり位相シフトがずれていることが判る。

200Hz  I-Q リサージュ波形

300Hz  I-Q リサージュ波形

400Hz  I-Q リサージュ波形

600Hz  I-Q リサージュ波形

800Hz  I-Q リサージュ波形

1KHz  I-Q リサージュ波形

1.5KHz  I-Q リサージュ波形

2KHz  I-Q リサージュ波形

2. 5KHz I-Q リサージュ波形

3KHz  I-Q リサージュ波形

3.5KHz  I-Q リサージュ波形

4KHz  I-Q リサージュ波形

5KHz  I-Q リサージュ波形

6KHz I-Q リサージュ波形


8KHz  I-Q リサージュ波形


フリーのパソコンオシロ(トラッキング機能のある)ソフト HandyOscillo での I/Q のトラッキングデータ
200Hz〜3KHzの帯域では位相差90度になっている。2.5KHzでゲイン差が2dB程出ている。






SSB 変調器
MAX2452は、サンプル回路ではIF出力の二倍の周波数をタンク回路で発振している。
今回の回路では、受信回路がDCの為、50MHzが必要なので
クリタルの3倍オーバートーンで発振した、50MHzを2逓倍した100MHzをタンク回路に注入している。
逓倍回路は最初、ダイオードダブラー(逓倍器)を試してみたがうまくいかず、トランジスタを使用したプッシュプルアクティブシングルバランスドミキサーに したら簡単に逓倍できました。
MAX2452のタンク回路への注入は最初タンク回路のL/C共振回路なにし、片側の入力にコンデンサカップルで入力しましたがうまく発振せず、L/C共 振回路を付けた状態で注入すると50MHzを2逓倍した100MHzにロックした周波数で発振しました。
(1/8のプリスケーラ出力で発振周波数を確認します。100MHzを注入しない状態ではタンク回路L/C共振周波数が 1/8プリスケーラに出力され、注入すると12.5MHz(100/8)が出力されました。)

当初、SSB変調器MAX2452のIF出力を長い線でバッファーAMPに繋いでいたら、キャリヤリークが非常に多かった。
そこで上の写真のように、FET AMPを近くにおいてすぐAMPするようにしたら、綺麗な波形になった。
回路図をみていいただけば判りますが、フェージング式SSB変調にもかかわらず、
キャリヤサプレスやサイドバンドサプレッションの調整箇所はなく調整なしで特性が得 られます。
下の波形写真は、600HzのAFを入力した時の、50MHz最終出力(50Ω 終端)

下の波形写真は、600HzのAFを入力した時の、AFと50MHz最終 出力
サイドバンドサプレッションが悪いと、50MHzがAFの波形と同期して振幅変調されると思うが、
それ程変調を受けていないようなので、サイドバンドサプレッションもそこそこいいようです。




RF 出力AMP
下の写真ような、2SK241のPP & パラで、FCZコイルの出力回路だけで、90mW(50Ω)の出力が得られた。
当初の回路ではこの後にトランジスタのリニアを考えていましたが、90mWが得られたのでこのままのQRPpでいいかなと思っています。
その後出力コイルをFCZ10S28に変更したり、出力段の電源フィルタを100Ωからコイルに変更して150mWの出力まで得られた。

(FCZ基板の裏にダイソーで以前に売っていた銅テープを貼ってアース強化をしています。)
GigaSt 簡易スペアナ・アダプタ−で測定した出力のスペクトラム(30dBATT)


スプリアスの一番大きいのは、100MHzで電圧で- 20dB、電力で-40dB
スプリアスは-60dBにしたいところですが、100mW出力なら-40dBは1mWなのでこのままでいいかと思っています。

AF入力をOFFした場合のキャリヤリーク(キャリアサ プレッション)は電圧で-20dB、 電力で-40dB


トータルのキャリヤサプレッションをHT-750で測定
AF 600Hzで変調時
HT-750 PreAmp On
USB S9+10dB
LSB S5

HT-750 PreAmp Off
USB S4
LSB S1以下


受信回路
当初、ダイレクトコンバートしたAFをAGC AMP(マイクアンプ)のTA20011Sに入力していたが、それでは入力信号レベルが低くて、AGCがか からなかったの で、2SC1815のアンプを2段追加したが、ローパスフィルタでの減衰10dBもあるため十分なAGCはかからない。

そこで、TA20011Sをあきらめて、OPアンプでゲインをかせき、入力にFETのゲインコントロールをいてみた。
ゲインコントロールはされるが、OPアンプでゲインをかせぐと、ノイズも増幅してしまい、無入力の状態でも出力に100Hzの信号が現れた。(多分 AC50Hzが誘導等でもれこんでいる。)

そこで基本的にAGCをあきらめて、2SC1815のアンプを2段追加したが、ローパスフィルタだけにして、RF初段に簡易な20dB程度のAGCをかけ た。
ダイレクトコンバートではAF段だけのフィルターしかないので、LCによるバタワース3段フィルタでフィルターしている。
Lは小型のコイルだと高域の減衰がとれないのでコアの大きな大型のコイルを使用する。
(ピンクと黄色の特性はコイルを並べると誘導で特性があばれるようだ。コイルを離して、向きを変えて誘導がないようにすると青の特性になる。5kHzで 30dB以上の減衰量)


ケースへの組み込み
ケースに組み込んでみると、TX側は正常に動作したが、RX側で無信号でもスピーカを繋ぐと2KHz程度で発信が発生した。
出力アンプの386から電源ラインへのもれこみと思い電源ラインのフィルタを強化しても改善せず、当面外付けのAMP付きスピーカを製作して対応。
MAXIMの参考回路のままに組んでみたらLSBであったのでIQの配線を逆にした。

受信→送信の切り替え時、2秒間程AFレベルでのマイクアンプへの回り込みで、無音声でもRF出力が出る。
対策として、SSB変調器IC MAX245のENABLE端子を2秒程LOWにする時定数回路を追加した。

送信出力に混変調
送信出力を受信機で受信してみると、混変調がおおく、QSOが難しい。
スペアナがないのでDBMとパソコンFFTによるスペクトラム測定器で測定した。
LSBの抑圧がよくない。
800HzのシングルトーンでもUSBとLSBのIMDでシングルトーンの二倍の周波数に変調が発生してしまう。


800Hzと”KHzのツートーンの場合かなりひどくなってしまう。